田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

貧乏自慢

最近お風呂の蛇口の調子が悪い
 
200リットルなり250リットルなりの目盛りに合わせて蛇口をひねれば
 
その分のお湯が出たら自動的に止まる仕組みの便利な蛇口
 
それが止まらずにいつまでも出ていてたまに溢れさせる
 
いつでも調子悪いわけではない
 
気をつけていて 止めに行けばいいだけのことで
 
こんな調子で1年以上が経過している
 
一度蛇口を取り替えようとハウスメーカーに聞いたら
 
このタイプの蛇口を交換するには10万円くらいもかかるといわれて
 
いまだ だましだまし使っている
 
それが最近は 一度開けた蛇口がきちっと締まらないことがたびたびあり
 
いよいよ替え時か?と悩む
 
しかし 
 
蛇口ごときに10万円も払うなら私が止めに行くから10万円くださいというかんじ
 
でも お風呂担当は娘だからそれは言わない
 
代わりにこう言った
 
お母さんの子供の頃は池のそばに小屋があってそこがお風呂でさ~
 
お風呂の水を池からバケツで汲むのが子供の仕事だったんだよ
 
それを思えば蛇口を閉めに行くくらいなにさ
 
ふつうの蛇口つけてもらってタイマーかけて止めに行けばすむことでしょ
 
するととーさんが
 
俺は川から水を運んだ という
 
川からお風呂の小屋まではけっこう歩く
 
わぁ~それは大変だったねぇ
 
と私は感心する
 
貧乏自慢するわけじゃないけど と とーさんが調子づく
 
子供の頃 ウチのカーテンは硫安の袋を縫い合わせたものだった・・・と
 
硫安とは肥料のことで 昔は布の袋に入っていたのだった
 
その空き袋をほどいて広げて縫い合わせてカーテンにしていたという話に
 
私も負けじと
 
ウチはシーツが硫安の袋だった!と自慢する
 
それは自慢でも何でもない恥ずかしい思い出だ
 
私が小学生の頃 友達が遊びに来て 
 
部屋の隅にたたんであった私の布団を見て
 
なに? これ? 肥料の袋がシーツなの? と笑った
 
私は笑われている意味がわからず 

え?ジュンちゃんはどんなの使ってるの?と聞いた
 
友達は え?ふつうのシーツだよ と答える
 
それまでなんとも思っていなかったことが急に恥ずかしく思えた
 
そして 世の中にはふつうのシーツというものがあることを知り
 
硫安の袋のシーツは恥ずかしいものなんだと知る
 
そして自分の家が貧乏なんだと自覚したのもそのときだった
 
子供の頃の貧乏は苦にならなかった
 
親の愛に満たされていれば子供は幸せなものだ
 
大人になっての貧乏はつらい
 
大人は 無くても有るふりをする
 
とーさんはきっと 10万円の蛇口を付けるというのだろう