今は田植えの最盛期。
始まりから終わりまで、怪我をしないよう、事故を起こさぬよう、
気を張って挑む。
疲れのピークは三日目にやってくる。
仕事のペースに体が慣れて緊張が少しゆるんでしまうせいか、
いつも三日目が一番つらい。
疲れているのに眠れず、睡眠のリズムを崩す。
だがその頃はまだ、朝はちゃんと起きられる。
それから更に数日、いよいよ田植えも終盤、
明日には終わるという頃に、
先が見えて安心するせいか大きく気がゆるむ。
毎年のようにそのあたりで私は大寝坊をする。
二十代の頃は優しく起こしてくれた夫も
三十代になると、ものも言わずいきなり布団を剥がすようになり、
なんて愛のない人だろうと思ったものだ。
しかし年とともに寝坊をしても黙って放って置かれるようになり、
そのときほど気まずいことはなく、
起こしてくれるうちは愛があったのだと気づく五十代。
朝ごはんは六時から。
私が寝坊すると夫が味噌汁を作る。
台所に立つ夫の背中で怒りのオーラが燃えている。
とても近寄れない。
それが不思議なことに五十代最終章の最近は
怒りのオーラが消えている。
愛の復活か、それとも完全にあきらめられたのか。
いずれにせよ今年の田植えもあと少し、
最後まで気を抜かず頑張ろう。