田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

北海道新聞 北極星

笑おう   北海道新聞 北極星 2020・3/15日

笑おう 私は毎朝笑う。わはははと声を出して笑う。毎朝開く新聞の漫画が面白いのだ。ここは田舎なので前日の夕刊が今日の朝刊と一緒に届く。夕刊の漫画がこれまた面白い。毎朝二度笑える。 笑うと免疫力が上がるらしい。それは作り笑いでも同じ効果がある、…

老人力         北海道新聞 北極星 2019/12/16掲載

老人力 朝食に魚を焼く。 まるまる太ったイワシをいざ焼こうとグリルを開けると、 なんと前日のイワシが美味しそうに焼き上がってそこにいた。 夕食の時、ご飯を温めようとレンジを開けると、 昼に温めてそのまま放置されたおかずが見つかる。 認知症の初期…

北海道新聞コラム北極星  2019(令和1年)9月28日掲載

猫との暮らし 夜になると猫たちの集会があるらしい。出かけるときは一声鳴けばドアが開く。 集会は夜明け前に終わる。帰ってくると、まず門番の犬の前に立つ。すると犬がお知らせの声を上げる。それで人が目を覚まし、ドアを開けに起きる、という序列ができ…

FFJの歌 北海道新聞北極星2019/7/15掲載

「みのる稲穂に富士と鳩」と始まる日本学校農業クラブ連盟(FFJ)の 歌がNHKの朝ドラで流れた。 懐かしさがこみ上げ、私も一緒に歌った。 この歌は農業高校に籍を置いた者ならみな知っている。 そこには「農業クラブ」という生徒会と双璧をなす組織が…

農の知恵 北海道新聞北極星2019平成31年4月29日

ようやく春本番。 これからの季節は本業の米づくりの合間に、 少しばかりの花や野菜を育てることが私の楽しみです。 例年、霜の心配のなくなる六月になってから畑に苗を植えます。 昨年、あれはまだ五月上旬のことでした。 家から遠い通いの田んぼに行くと、…

みそ仕込み  北海道新聞 北極星2019(平成31年)2月10日

冬はみその仕込みの季節。 毎年色々な人たちのみそ造りのお手伝いをさせてもらっています。 旭川市内の加工場を利用して行うみそ造りは一度に大量にできます が、人気が高い施設だけに希望の日に利用できないこともあります。 また計画した日に都合がつかず…

夢の隠居生活 北海道新聞北極星2018/09/02

若い頃から思い描いていた 夢がある。60歳になったら会 社員は定年で退職する。農業 者だってその頃には隠居生活 に入って良いのではないか。 農作業からは引退して、悠々 自適に花畑の手入れなどして 過ごす。庭には実のなる木を 植えて、畑では孫の好き…

山菜の季節に 北海道新聞 北極星2018/6月17日

今年、久しぶりにフキを塩漬けにした。 冬期間の嬉しい保存食になる。 農地の周りに山菜はいろいろあるが、 山菜の旬の時季はちょうど農作業の最も忙しい時と重なる。 若い頃は代かきをしている夫のトラクターがあちらを向いた隙に、 近くの沢を駆け下りて大…

おひなさま 北海道新聞 北極星 2018 3月20日

今年、自宅の納戸に何年もしまったままだった、おひなさまを久しぶりに 飾った。 昨年、娘に女の子が生まれたのだ。 孫のおひなさまは今どきのコンパクトなタイプなので、 自宅の七段飾りを見せてあげたいと思ったのだ。 納戸の奥からかき分けて、ようやく取…

大人になった 北海道新聞 北極星 12月26日掲載

冷蔵庫の扉を開けると、いきなり頭に何かがぶつかった。 あっ、と落ちていくものを見ながら体が動かない。 ジュースだ、と思うと同時にガラス瓶は床に落ち 中身のしぶきとともに粉々になってあたり一面に飛び散らかった。 痛いおでこを押さえながらしばし呆…

稲作 今年も一苦労 北海道新聞 北極星2017年10月17日掲載

年末でもないのに、もう今年を振り返りたくなるのは一年一作の米づくり のゴールが近づいているからだろうか。 農業は、毎年同じことを繰り返しているようだが、毎年のように初めて の出来事に遭遇する。昨年は台風に痛めつけられ追い打ちをかけるよ うに記…

畑がくれたもの 北海道新聞北極星2017/8月3日掲載

実家の母が五ヶ月あまりの入院生活からようやく自宅に帰った。 病気のせいで筋力が弱り、 今までのようなひとり暮らしも難しいかと思ったが、 何とか日常生活を送れるまでに回復して退院となった。 退院の日、自宅へ送る途中、 介護用品を見ようとホームセン…

朝寝坊遍歴 北海道新聞 北極星 5月25日掲載

今は田植えの最盛期。 始まりから終わりまで、怪我をしないよう、事故を起こさぬよう、 気を張って挑む。 疲れのピークは三日目にやってくる。 仕事のペースに体が慣れて緊張が少しゆるんでしまうせいか、 いつも三日目が一番つらい。 疲れているのに眠れず…

活力の源 北海道新聞北極星 2017/3/14日掲載

長い長い冬休みが終わり、また今年の農作業が始まりました。 若い頃は、冬も早起きをして家族五人分のお弁当を詰めて、 子供を学校へ送り、自分もアルバイトに出かけました。 木工所で働いたのはまだ三十代の頃、 市場のパッケージの仕事は四十代になってか…

お正月のご馳走 北海道新聞 北極星2017/1/6

三が日、皆さんはどんなご馳走を食べましたか? 私の子供の頃は、お正月が待ち遠しくて歌にあるように、 指折り数えて待ったものでした。 それがこの頃は、もうお正月かと焦りさえ感じます。 お正月、一箱だけの木箱のみかん、普段は見たこともない大きくて…

おにぎりで世界一へ 北海道新聞北極星2016/10/21

秋の一日、稲刈りを休んで、ギネスに挑戦「5 分以内におにぎりを同時 に握る最多人数を競う」というイベントに参加してきました。 前日に福島県で976人の記録が出されたばかりでした。大丈夫か? 上川管内の各JAが自慢の農産物を持ち寄った「大収穫祭…

人生のレシピ 北海道新聞 北極星 7月18日

先月のこと、私が所属するJA女性部で、豆腐づくりを体験しました。 豆腐が固まるまでの時間に、おからも調理して持ち帰ることにしました。 私はおから煮の準備を担当しましたが、 これといったレシピが見つかりませんでした。 そこでひとりの先輩部員さん…

時代 北海道新聞 北極星 5月13日

三月、ビニールハウスの周りの除雪から始まった今年の農作業。 それからビニールをかけ、雪解けを待って四月には種を蒔き、今は芽を出した苗が葉を広げ、青々と育っています。 田んぼではあちこちでトラクターが競争するかのようにうなり、田おこし、水を張…

オイシイをつくり隊 北海道新聞 北極星 3月4日

オイシイを作り隊 「オイシイを作り隊」の活動を始めたのは、味噌づくり体験の講師をしたことがきっかけでした。 講師を依頼された時、「味噌づくりなんかに人が集まるのかしら」と思いました。 何度か開催して、毎回予想に反して定員を大きく上回る申し込み…

聞いてほしいこと 北海道新聞 北極星 平成28年1月20日

聞いて欲しいこと 我が家は稲作農家です。 私が嫁いでから早いもので36年、今は夫と息子との3人で営農しています。 若いころは周りはみんな農家で、競い合ったり助け合ったりして地域の先輩方にたくさんのことを教わってきました。 良いことも嫌なこともあ…