田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

ひとり暮らし 旭川新聞 並木道 2016/4月12日

  ひとり暮らし
       
新年度が始まった。
もう一昔も前のことだが、娘が初めて家を離れて短大の寮に入ったときのことを思い出す。
 娘の引っ越しを終えて家に戻った私に、夜になって「ひとりぼっちで寂しい」とメールが来た。
歯がゆい思いでこちらからも励ましのメールを返した。
それからほどなくして、料理の得意な友人が出来て一緒に作って食べていると聞いて安堵したものだった。
 昨年の春、妹の子がひとり暮らしを始めるときには、自炊などしないだろうと、料理に関するものはあまり持たせなかったらしい。
それが次に帰省したとき姪っ子は、リュックに詰められるだけのお米を背負って部屋に戻って行ったという。
妹は慌てて食材を送っていた。
 また、ある知人は娘さんの部屋を突然訪ねると、ご飯にケチャップだけをかけて食べていたとか。
 親にも子にも春は試練の季節のようだ。
家を離れて初めて、子は親のありがたさを知り、親は子の巣立ちを複雑な思いでかみしめる。 
親の心配は尽きないけれど、お米があれば大丈夫、どんなときもご飯があればきっと力が湧いてくる。
今年もたくさんの家族に元気が届くように美味しいお米を作ろう。
もうすぐ我が家の籾まきが始まる。