ようやく春本番。
これからの季節は本業の米づくりの合間に、
少しばかりの花や野菜を育てることが私の楽しみです。
例年、霜の心配のなくなる六月になってから畑に苗を植えます。
昨年、あれはまだ五月上旬のことでした。
家から遠い通いの田んぼに行くと、
隣の人がもう畑で苗を植えていました。
そこは毎年、いつの間にかトウキビが育っている不思議な畑でした。
トウキビは寒さに弱いのに、こんなに早くに植えていたとは驚きです。
私は用水を飛び越えて話を聞きに行きました。
「こんなに早く植えて大丈夫ですか?
予報では明日の最低気温は三度ですよ」
「毎年この時期に植えてるんだ、もっと早く植えたこともあった。
霜にやられることもあるけど全部はやられない。なんとかなるもんだ」
話は更に続きます
「大豆は駄目だぞ。大豆はバカだ。蒔いたらすぐに芽を出す。
そして霜にやられる。だけど小豆は利口だからな。
ちゃんと暖かくなってから芽を出すんだ」
畑の主は何十年もここで農業を営んできた翁です。
お仕事中でなければまだまだ続きを聞きたかった。
経験に裏打ちされたこんな知恵こそが、
インターネットでもたらされる最新の情報よりも、
私には心に残る価値あるものです。
18人の筆者が交代で書いています
考えてみれば この 農の知恵 が 平成最後の北極星でした
失敗したわ~平成の思い出とかにすれば良かったわぁ~
二度と巡り会えないチャンスだったのに迂闊でした
もったいないことした