田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

ペーパンの味(旭川新聞 平成25年1月29日掲載

友人たちとのおしゃべりで、自分の作るお雑煮のルーツの話題になった。
一人は実家の味だと言い、もう一人は料理上手なお姑さんの味だと言う。
私はそのどちらでもない。
実家のお雑煮は具の少ないあっさりした味で、子供の頃はあまり好きでなかった。
嫁いだときには姑はすでに他界していたから、その味も知らない。

子供が小学校に入ると学校田があって、秋には収穫した餅米で餅をついた。
そのとき皆で作ったお雑煮には何種類もの野菜が入り、それが美味しくて我が家の雑煮も同じ味になった。

ペーパンは人と人のつながりが強く、嬉しいときも悲しいときも集まってはお酒を酌み交わし、
料理を持ち寄ったりして仲良くしてきた。
若いときには煩わしいと思うこともあった集まりも今になれば、そういう中からたくさんのことを学んできたのだと気づく。
私の好きな煮付けも漬け物もみんなここで周りの先輩方に教わって覚えたものだ。
つくづく私がつくる味はぺーパンという地域の味なんだと思う。

昔は農家ばかりだったこの地域も今はお勤めの人が増えた。
休日もばらばらでなかなか一堂に会することが難しくなり、ぺーパンの味を披露する機会も少なくなった。
そんなことを寂しいと思う私もいつの間にかここで古株になってきた。