田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

人間の檻 旭川新聞 並木道 平成27年7月28日

昨年、イチゴの苗を育てて二百本ほど畑に植えました。
たわわに実るのを想像し、食べきれないだろうから妹にも持って行こう、
それよりいっそ摘みにきてもらおうか…などと捕らぬ狸の妄想を楽しんでいました。

今年は天候不順でしたが、イチゴは初夏の収穫期を迎えて順に赤くなり、
毎日小さなざるに一杯くらい採れるようになっていました。 
五日目の朝のこと、そろそろ大量に採れる頃かと、
大きなざるを持って畑に行って唖然としたのです。
前日までは、たわわとまでは言えないものの、まだ暫くは楽しめるほど実っていました。
それが一粒残らずというほど、赤い実もこれから熟すはずだった白い実も、
一晩で忽然と消えてしまいました。

野生動物の仕業です。
思い返せば昨年の秋には苺の列を横切るようにシカの足跡が沢山ありました。
トウキビも明日収穫しようと思ったその夜に何者かにやられました。
近くの農家で畑を荒らされ、罠をかけるとアライグマが捕まったと聞きました。
市内で今年既に二十五匹も捕獲されているとか。

かつて動物園に「人間の檻」という展示がありました。
人が檻の中に入って面白がって写真を撮りました。
いま本当に人間が檻の中で生活しなければならない時代が来てしまったのでしょうか。