田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

母の思い 旭川新聞 並木道 平成27年10月20日

 83歳の母は野菜づくりを生き甲斐に一人暮らしをしています。
腰が悪くて長くは歩けませんが、車を運転して自由に出かけます。
子供を頼らず自立している姿は尊敬に値します。
近所の方が畑の事など手伝ってくれるので、私も妹もつい甘えて、
あまり心配せずに過ごしてきました。

その母が先日、アクセルとブレーキを踏み間違えて事故を起こしました。
幸い怪我人はなく、母は自分で事後処理をして終わらせるつもりでしたが、
二日後に偶然、私が行って知るところとなりました。

細かく聞けば聞くほどあやふやな点があり、
保険会社に確認したり、相手方へ出向いたりしました。
でも後になってみれば母の処理は的確で、
私が知ったばかりに騒ぎを大きくしてしまった感もありました。

母になぜすぐ知らせてくれなかったのかと聞くと「恐ろしくて言えなかった」。
事故のことよりもその言葉にズシンと来ました。

「一日でも長くこの家にいたい」と常々口にする母です。
母が一番恐いのは、今の暮らしを続けられなくなること。
「そろそろ運転は…」というう言葉を飲み込み「執行猶予だよ」と言って帰ってきました。
母の気持ちに寄り添って見守っていきたいと思います。