今年、自宅の納戸に何年もしまったままだった、おひなさまを久しぶりに
飾った。
昨年、娘に女の子が生まれたのだ。
孫のおひなさまは今どきのコンパクトなタイプなので、
自宅の七段飾りを見せてあげたいと思ったのだ。
納戸の奥からかき分けて、ようやく取り出した大きな箱三つ。
ひな壇を組み立て、お道具を丁寧に並べた。
優美な姿のおひなさまを前に、娘が子供だった頃を思い出し、
夫との会話も弾んだ。
三月三日は娘の誕生日。
今年は孫の初節句が重なった。
そしてこの日は、二年前に亡くなった私のいとこの命日でもある。
今年の法要の席で、住職が、相田みつをさんの詩を紹介してくれた。
「あのときの あの苦しみも あのときの あの悲しみも みんな肥料に
なったんだなあ じぶんが自分になるための」
この詩を聞いて還暦を迎えた私は思わずうなずいた。
いくつものつらいこと、悲しいことがを経験したからこそ、いまの幸せを
感じることが出来るのでしょう。
娘夫婦の子育ては始まったばかり。
初節句のお祝いの席で「これからの子育て、長いよ、大変だよ」と
つい言ってしまった。
一言足りなかった。
「それ以上にうれしいことがたくさんあるよ」と。