田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

終業のチャイム 旭川新聞並木道 2019/6/11

終業のチャイム
  
  春一番の大仕事、田植えが今年も無事に終わった。

我が家は私たち夫婦と息子の三人で営農している。

還暦を過ぎれば世の定年にならって

少しは楽ができるかと思えば大間違いで、

年とともに体が辛くなるのに、

毎年耕作面積が増え、家族労働の限界を感じるようになってきている。
 
 今年の田植えには、若い友人に助っ人を頼んだ。

すると彼女はママ友ネットワークを駆使して知人数名を誘ってくれた。

その人達の子供さんの送迎の時間などを考慮して

人員の空きが出ないようにシフトを組んで人の手配までもしてくれ、

大変助けられた。
 
 汚くてきつい仕事に街の奥様方が大丈夫か、

と心配したがそれは杞憂に終わった。

それどころか皆さん農作業に興味津々で、

田植機に乗って苗の補充をする仕事は

田植えの花形だとまで言われたのには笑ってしまった。
 
 田植えの十日間のあいだに、

彼女たちから私に向けてかけられた言葉は意外なものだった。

「大丈夫ですか」「代わりましょうか」と幾度となく言われたのだ。
 
 その言葉はとてもありがたいのだが、

何十年も続けている仕事に私は自信があった。

しかし彼女たちの目にはそうは映っていなかったのだ。

そろそろ世代交代ですよ、

と終業のチャイムが遠くから聞こえた気がした。