田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

時代 北海道新聞 北極星 5月13日

          
三月、ビニールハウスの周りの除雪から始まった今年の農作業。
それからビニールをかけ、雪解けを待って四月には種を蒔き、今は芽を出した苗が葉を広げ、青々と育っています。
田んぼではあちこちでトラクターが競争するかのようにうなり、田おこし、水を張って代掻き、と田植えの準備に追われています。
 ここに嫁いで三十数年、耕作する面積は当時の十倍を超えました。
父と私たち夫婦で行っていた経営も今は息子と私たちへと一世代進みました。近所の先輩たちに沢山助けてもらってここまできました。
今は大型機械に助けられ、泥だらけになって田んぼの中を這いつくばることもしなくなり、体は楽になったものの財布が忙しい時代になりました。
  今は昼寝の方が大事になりましたが、若い頃は農作業の合い間に昼休みの時間も惜しんで野山を駆け回りました。少し歩けばたくさん採れた山菜も年々乏しくなり、どこまでも入り込んでくる顔も知らぬ人々を恨んだこともありましたが、自分の欲を消せば恨みもまた消えていくこの頃です。
  昔も今も農民は、降った照ったと空を見上げて、作物のご機嫌が良いようにと環境を整え、毎日あぜ道を歩く。時代がどれだけ変わっても基本は変わらないことを肝に銘じて今年もまた美味しいお米作りに励んでいきます。北海道のお米は美味しくなりました。道産米を今年もどうぞよろしくお願いします。