田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

母とオセロ 旭川新聞2020・2月25日

母とオセロ
          
長く牛飼いの女房として生きてきた母。

晩年牛を手放してからようやく遊ぶことを楽しめるようになりました。
  60を過ぎてから覚えたというオセロゲームはかなり腕を磨いたようで、

86歳の今、デイサービスや病院のリハビリルームなど行く先々で

オセロ強いばあちゃんとして名を馳せているようです。 

母がそのことをよく自慢するので、手加減してもらってるのだろうと

私はたかをくくっていました。
 母は先月から老人ホームに入りました。

そこで初めて私も母に挑みました。

3 戦して私の全敗でした。

自慢するだけのことはある。
 「弱い相手じゃ面白くない」とまで言われて私の闘争心に火がつきました。

それから毎日インターネットでAI相手に練習です。
 「お母さんに花を持たせておきなさい」と忠告されても聞く耳持たず。

鼻息荒く次に対戦したときには3戦3勝私の圧勝でした。
 あの強い母に勝つと、どれほど嬉しいものかと想像していましたが、

実際勝ってみると予想に反して全然喜べませんでした。

そこで初めて「花を持たせる」という言葉の意味がわかった未熟者の私。
 しかし三度目の対戦ではまた母が復活したのです。

やはり母は偉大です。

またたくさん練習をして挑戦しようと思います。

 

 

 

というコラムを書いて 新聞に載ったばかりでした

九州へ行く前の日に老人ホームの母に会いに行って

怖いウイルスが流行ってきてるから 帰ってきてもしばらくは来られないから

といって別れてきたのでした

その時もチラッとおかしなことを言っては居たのですが

自分で 

夢だか現実だかわからなくなって・・・

といって笑っていたので

私も笑い話として聞いてきたのに

 

それからわずか2週間で

笑い事ではなくなった

 

今朝 電話で

みんなが夢だのウソだのって言うんだけど

やっぱりホントだったわ

私の家(今は空き家になっている)に友子たちが来て住んでるのさ

と言ってきた

友子たちとは もう何年も会っていない母の姪っ子姉妹のこと

叔父が離婚してしまったことで母はその子たちが不憫で仕方ないのだ

しかしその子たちだって 今はもうみんな立派なおばさんだ

でも母の中では いつまでもかわいそうな子供たちなんだな

その子たちが ろくに火の気もない寒いところで震えている

食べる物もないので かわいそうだからコンビニから弁当を買って届けたい

それなのに 私は外出禁止だから何もできない と言う訴えだった

さあ こういう場合どう答えるのが一番良いのか?

まず正攻法で攻めてみる

かあさん あの家はお水も止めてあるのに 暮らせるわけないでしょ

 

それがさ~ちゃんと水出してたんだよね~ どうやって出したんだろうね~?

 

と きたもんだ

 

かあさん かぎは私が持ってるんだから 玄関開けられないでしょ

 

それがね~座敷の窓ガラス割って中に入ってるんだよ たまげたね~

と言う

 

それでね 押し入れに寝てるんだよ~

 

いやはや見事なストーリーが出来上がっている

たまげるのはこっちだ

 

ダメ押しで聞いてみる

かあさんはそこの施設にずっと居るのにどうやってそれを見たの?

 

この前泊まってきたんだもの

 

え?今は外出禁止でしょ

 

イヤ3日くらい前はまだ出られたの

 

と言う

 

もうそれ以上追及するのは無駄だと気付いた

 

私が家を見に行ってくるから

と安心させて電話を切った

 

 

そのあとで妹にも電話がいったらしい

妹は根気強く何度も何度も

それは違うよ、かあさんは夢をみたんだよ

と納得するまで説明をしたらしい

 

それなのにやっぱり納得できなくて そのあと また私に電話をかけてきた

妹が説明をしたと言ったので私も妹に倣って

 

かあさんはね 夢と現実がゴチャゴチャになってるんだと思うよ

友子たちのことは心配ないから かあさんは自分のことだけ心配して

 

と言うと

 

ああそうですか!

と怒って電話を切った

 

それなのにまた夕方そんなことも忘れたかのように電話をかけてきた

 

いやはや すぐにでも会いに行きたいのに

今はコロナ関連で面会も禁止になってしまった