田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

不穏な電話

老人ホームにいる母から電話が来た

母からの電話は大抵ろくな話じゃない

母は男兄弟の中の女1人

小学3年生で母親を亡くし

戦中戦後の苦労は半端ないものだったと

時折聞く思い出話の中からも容易に想像がつく

 

兄二人弟1人と力を合わせて乗り越えてきたひとつの時代

そのうちの独り暮らしの下の兄(えいちゃん)のことが母は心配でしょうがない

今日の電話も えいちゃんが死んだ という電話

連絡しなきゃと思って と電話をくれた 

母さんには誰から連絡来たの?

連絡もなにも目の前で見てたんだから

母さんは老人ホームにいるんでしょ 見られないでしょ

いや~そうかい? 変だね

それは夢を見たんだよ

もしホントに夢なら嬉しいけどねえ と母

安心して❗夢見ただけだから おじさんはピンピンしてるよ

 

認知症の人の言うことに逆らってはいけないとはよく聞く

他人なら 

あらそうですか 大変ですね などとも言えるものだが

おじさんが死んだことをこちらが認めれば おそらくそのあとには

お通夜だ葬式だと騒ぎ立てるに違いない

母の頭のなかでは次々とストーリーができあがっていく

最近の母の良いところは夢だよ というとそれを認めるところだ

なんとか話を逸らして次の話題に移ったら

行方不明はどうなった?と聞いてくる

誰が行方不明なの?

和男兄さんさ

和男さんはとっくに死んでます

それが生き返って今なんか出稼に行ってるよ

というので大笑い

それはお元気で結構なことですね 今にお金送ってくるかもねえ

と私は答える

そういう話にはいくらでも乗れる

死んだ話には簡単に同意できない

えいちゃん兄さんは何度も母に殺されている

次に同じことを言われたら今度はは生き返った話に持っていこう

おかげで退屈しないわ