田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

じわじわと染みるように

小豆を炊いて 濾しながら

母さんのことを思い出していた

母さんはもう

思い出の人になってしまった

母さんの作るおはぎ

母さんの作る揚げパン

母さんが育てたカボチャ

母さんが育てたスイカ

親戚のあいだで語り草になるほど どれも

美味しかったんだよ

母さんが育てた私と妹は

とても仲良く話し合って

お互いを思いやって

お寺での四日間を過ごしたよ

母さんは死ぬときにまで周りのことを考えていたんだね

ずっと容態の良くなかった札幌の母さんの弟の葬儀が終わって

そこに参列したばばちゃんが

あさひかわ駅に着くのを4番ホームで待ち構えていた私

電車は30分遅れで到着した

ひどい雪の日で その日はとーさんの運転だった

とーさんがそばにいてくれて心強かったんだよ

札幌での葬儀で疲れたばばちゃんを家に送り届けて

ゆっくり寝てね 今日は大丈夫だから と言って私たちは帰路に着いた

母さんの急変の知らせが入ったのはそれからわずか10分?15分?

家まで帰っていたらずいぶん時間がかかったと思うけど

本当にすべてを計ったかのように 私たちにはありがたかったよ

苦しみから解放されて楽になって穏やかに眠る母さんは とても綺麗だった。

あ~母さん綺麗だね って思ったよ

妹とこれからも仲良くしていくよ安心して見守っていてね

母さん ありがとう

 

じわじわと染みるように 寂しさが広がっていく