田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

いずみ その5

農家に嫁ぎ 3人の子を授かり
 
農作業と子育てに無我夢中でやってきて
 
ふと気づいた自然からの恵みによって営まれている 農業という仕事のこと
 
そして自分が今その中で生かされていること
 
これからも農業と一緒に生きていく って思った
 
いろんな事に気づいて  わ~! と思ったときに書いたものでした
 
 
平成3年5月27日掲載
 
命の川
 
家のそばを川が流れています
 
小さな川ですが 真夏でも水が枯れることはありません
 
初めてこの家に来たとき 「わあ!家のそばに川がある」と感激する私を夫は
 
「変なことで喜ぶヤツだ」と見ていました
 
ヤチブキが春を告げ 行者ニンニクや みずみずしい蕗 タラの芽もこの川が育ててくれます
 
我が家の飲み水も この川の上流から引いています
 
夏の日のおむつ洗いは 気持ちの良い仕事です
 
川からの水は ため池に注ぎ 用水路を通って水田に満ち 秋には実りを迎えます
 
野菜の土も 長靴の泥も 心の中のわだかまりまでも この川が洗い流してくれます
 
まだ新婚の頃 慣れぬ仕事がつらく いつも雨の日を待っていました
 
朝 布団の中でウツラウツラしながら水の音を聞きます
 
目をつぶったまま隣の夫に 「ねえ 雨降ってるね」と問うと
 
「違うよ 川の音だよ」
 
何度そんな間違いを繰り返したことでしょう
 
早起きは今でも苦手ですが 
 
目覚めるといつもせせらぎが聞こえ 新しい一日の始まりに喜びを与えてくれます
 
この川は自然のままで 水辺には草の根がしがみつき 木の根も頑張っています
 
ときどき猫がドジョウを狙ってダイビングしたりします
 
この周辺にもリゾート開発の波が押し寄せています
 
そんな波に押し流されず 
 
この川だけは 清いまま これからも流れ続けてほしいと思っています