田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

牛の話

みーの実家は牛飼いでした 乳牛ではなく 黒毛和牛って肉用牛です

みーが小学生の頃 ぼん という牛がいました 

ぼん という名前ですが雌です

ぼんの名前の由来は 角が盆栽の枝ぶりのように曲がっていたので 

ぼんさい の ぼんなのです 

ぼん はとても穏やかな性格の牛で 

小学生のみーにでも触ることの出来る牛でした

ぼんに子供が生まれ それを ぼんこ と呼んでいました

ぼんこも 母親譲りの穏やかな性格で みーの好きな牛でした

小学生の時 町の中心部で牛の共進会(品評会)がありました

牛の月齢ごと何頭もの牛を出品するみーの家では 

連れて行くのに人手が足りません

そこで みーが学校へ行く時に ぼんこを引いていくことになりました

初めてのことでしたが ぼんこは 黙っておとなしくついてきました

時々 みーの頭を後ろから 長ーい舌で  

なめようとするのには困りましたが 懐かしい思い出です

子供の頃のある日の夜 すごいご馳走が食卓を賑わしました

家族みんなで美味しい美味しいと鍋をつついていました

母が陽気に言いました

「美味しいね~ みー これ ぼんこの肉だよ~」

みーはその後 涙がポロポロ出て一口も食べられなくなりました

ひどい母だと思いませんか?

でも母は母なりに 牛は経済動物なんだ ということを教えたかったみたいで

その後も色々言ったように思いますが 

みーの耳には何も聞こえませんでした

小学生の頃の切ない思い出です

今? 食べますよ~ お高くて滅多に食べられませんけどね(笑)