田舎に生きるふつうのおばさん2

北海道の田舎で農業を営むおばさんです

いずみ その9

BSEとか口蹄疫とかやっと終息したかと思えば・・・今度はセシウム汚染・・・
肉牛農家には苦難が続きますね
汚染されていない牛の肉も 今は敬遠されてしまっているのでしょうね
農家にとって家畜は家族と同じなんですよね
最近のニュースを見聞きするたび胸が痛みます
 
1993年 平成5年4月17日掲載
 
牛飼いにさよなら
 
この春 13年間続けた牛飼いをやめました
嫁ぐとき 実家から連れてきた「さくら」が 私の牛飼いの始まりでした
もの心ついた頃から実家には牛が居て 小学生のときは共進会に出す牛を 
登校途中に引っ張って歩いたこともありました
高校卒業後も手伝っていましたから 父が「連れて行け」とくれた さくらを喜んで貰ってきました
 
しかし 手伝いと自分で飼うのとでは大きな違いがありました
喜びと苦労 どちらが多かったかというと やはり苦労の方が多かったように思います
当たり前のことですが 牛飼いには盆も正月もありません
家族揃って泊まりに行くのも 夜出かけて 朝になれば帰らなければいけません
寒い冬に 産まれたばかりの子牛を茶の間に入れて飼ったこともありました
思い出は尽きません
 
牛飼いではずっと先輩の母や 二人の叔母たちは きっともっと大変な思いをしてきただろうに
皆 いつも生き生きと明るく 牛飼いが楽しげで自信と誇りに満ちています
私もそんな人たちに少しでも近づけたらと思い 続けてきましたが やはりあんなふうにはなれませんでした
 
5頭いた牛がすべて去って空っぽになった牛舎で最後の掃除をしたとき
縛られていた物からの開放感と いのちを充分に生かしてあげられなかった後悔が私を包みました